夢追いかけて 今、命ほとばしらせる
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イラスト書道の誕生の瞬間
本格的に創作活動を始めていた時、「ニューヨークに作品を出品できる」ことを知ったんです。
「出したい!」という一心で制作に取り掛かりました。最初は絵を出そうと思ったんですが、海外だから書道を出した方が反響があるだろうか。。。と思ったその時、「イラストと書道を融合させたらどうだろう」と閃いたのです。
書道の文字の種類の中でも、古代文字(甲骨文、金文)は象形文字で「絵みたいだな」と大学時代から思っていました。
絵との相性がいいのでは?
そう思って試しに作った作品が「羽」という作品です。
天使のイメージで創ったもので、女の子のイラストの背中に「羽」という文字(古代文字)が付いています。
初めて作った時の感激は忘れられません。
今までみたことがないものを作れた!
そして、これは書道を大学まで学び、イラストレーターとしてやってきた私にしかできない作品だと思いました。
これなら「絵」を見るのと一緒に「書」も見てもらえる。書道は難しいと抵抗感がある人にも気軽に「書」に触れてもらえるのではないかと思ったんです。
自分ができることと、やりたいことが合致した瞬間でした!
ー本格的に書道を学んだからこそのアイディアであり、常に才能を見せつけらる出版社の現場の中で身に着けたイラストレーターとしての実力が伴い、そして、書道を身近にしたいという書道への愛、これら全てが実っていく、そんな未来への種が生まれた瞬間ですね。
そして、この「羽」の作品をNY・OuchiGallery のコンペに出品され、見事に通過。その後、同展覧会で、作品「Home」が100人中1st prise(一等賞)に選ばれました。
命ほとばしる人生
彼女の作品を初めて目にした時、これまでに触れたことのない真新しさを感じるとともに、イラストの中の黒くて太い線が何かを発しているような、また何か物言いたげな印象を残してくれていました。でも、それが書道の筆と墨を使って描かれたもだとは気づかなかったのです。
そして描かれた書道の黒い線や文字は、まるで呼吸をしている生命のような存在感があり、作品全体からも息遣いが聞こえてきそう、これが私が感じた和全さんのイラスト書道の第一印象です。
ーお話を聞かせていただいて、和全さんのこれまでの人生は「情熱」の強さで師匠と呼べる方との出会いを創り出し、また難関だった出版社の道を切り開き、「描くこと」へと自らを導いていかれたのを感じがしますが、一貫して、その情熱の根源にはどんな想いがあるのでしょう?
わたしの幼い頃からの感覚なのですが、自分を活かせていないと許せない、生きてる価値がない、負けた気がするんですよね。
だから、描いているときは自分を活かしていると実感して満たされるんです。
特に書道の線を引いているときに、生きているって感じがするんです。
ー線を引いている時にですか?
はい。筆で線を引いている瞬間、
今、今、今、その今が刻み込まれていて凝縮した時間がここにある、
それが100%がこの字の中に入っている。
そんな感覚なんです。
なんていうか本当の自分と繋がっている感覚です。
ある作品で水の流れを書道で表現したくて、筆を走らせている時、「時」と一緒にいる感覚になったことがって。
ー私が最初にイラスト書道を見たとき、なんと表現したらいいのかわからない感覚だったんですけど、今、言葉にすると、「イラストの中で書が生きている」そんな感じを受けていたんだと思います。
イラストが「静」なら書が「動」となって書道だけだと「静」の対比がないのであまりそう感じない、イラストの「静」があるから、書道の「動」がより「生きている、命がある」そんな風に見えます。
そして、なんでしょう、今、和全さんのお話を聞いていると、書道を書いている瞬間は「今、命をほとばしらせている」という感覚を感じるんです。
今年の夏に父が急逝したのものあって、「今 生きる」ということを、より感じているんだと思います。
より自分を活かす、命を生かすこと。
今は、デジタルで作品を創るので、後から簡単に修正できるんですよね。
でも、書道はそれができない。全て「今、ここ」の表現なんです。
だから、パフォーマンスを見てくださった方が、描く前にも関わらず涙されるのは、その想いが伝わって、それを感じてくださっているからだと思います。
ーなるほど、書道の奥深い魅力が少しわかった気がします。最後に、和全さんの将来の目標をお伺いしたいです。
今の自分はまだ「うまく書きたい」という自意識の想いがあるんですね、それを超えていきたいです。
師匠(本のソムリエ団長さん)にも、「うまく書こうとしないこと。その人そのものがアートなんだから」と言われます。その境地に行きたいなって思います。
だから、もっと自分の命がほどばしる瞬間を全開で感じる作品に出会いたい、それが今の目標です。
まとめ
出版社に入りたいという願いを叶えるために学生時代の書道の道を4年間、そして念願のデザイナー、イラストレーターになってからも、書道、デザイン、イラスト、どれも自分自分の理想に近づける作品ができないジレンマや葛藤、挫折を感じてこられた。そして、その描けないというジレンマが、描きたいという欲求を生み出してきた。
作品をつくるきっかけは、「出さざるを得ないから」と、こう表現される。
そして和全さんは、その衝動に促されて、そこに手を伸ばす。
和全さんのスピリットは自分を活かさない自分を許さない。
だからこそ、命が躍動する音の方へと彼女の運命が開けていく。
この命の衝動を全身全霊で作品に表現しようとする姿に、私たちも「今ここに生きていること」を思いださざるを得ない。
これから和全さんの「イラスト書道家」としての人生の旅があり、その彼女の旅を「彼女の作品」と共に私たちも一緒に楽しませてもらえる、そんな魅力を放つアーティスト「イラスト書道家」和全さん、彼女の作品があなたの人生にも現れますように。
「イラスト書道家」和全さんのご紹介